柔らかいディフェンスと胸郭 ~ Training Tips for Boxers 3 - 名古屋伏見の姿勢・呼吸&歩行|BMSパーソナルトレーニングジム

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こんにちは、名古屋伏見のパーソナルトレーナー田島です。

胸郭って?

 

大分久しぶりになりますが、前回の投稿の股関節・骨盤帯の動きに続いて今度は上半身の核となる胸郭と肩甲帯の動きについて考えていきたいと思います。

パンチを打つ動作でも、ディフェンスでも下半身で生み出した力を、上半身から拳までしっかり伝えるには胸郭と肩甲帯の連動が非常に重要となってきます。

胸郭

[では胸郭って何っていうと、胴体の、胸から上の部分の、首と頭以外の構造の事です。胸郭は「肋骨・胸椎・胸骨」で構成されるカゴ状の構造。その上に「鎖骨・肩甲骨」から成る肩甲帯が乗っています。この2つがユニットとして機能することで、パンチのリーチとディフェンスのキレが生まれます。]

 

首で避けるな、胸でズラせ

 

例えばスリッピング(ヘッドスリップ)です。うまい選手はスムーズかつシャープな動きで頭をずらし、全くぶれずにカウンターを繰り出します。

でも自分で行うと、ぎこちなかったり、避けられても素早くパンチを返すことにつなげられないのはなぜか。

まず、スリッピングはよく首の動きだと思われるのですが、実は股関節からの小さな重心移動と胸郭の動きが重要です。股関節で生まれたわずかな重心移動を、軸を保ったまま胸椎の柔軟な側屈・回旋によって頭の位置のスライドへと変換する。

 

首から上で動こうとするような動作ではなく、上半身は腰・腹を安定させたまま胸から上で動く。胸郭という土台ごと頭の位置をシフトさせる。これにより、視線がブレず、腰は安定させたままで、避けた瞬間にカウンターなどに移れる。

インド人のダンスのように水平に左右に首だけ動かす訳ではないんですね。むしろ首は頭と視線の高さをキープするために追従するだけ。また首で動こうとすると顎もついてきがちになります。

 

さらに胸から上で動くというのは、スウェイバックも同様です、腰から反るのではなく、下半身の重心の後方移動と併せて、胸椎の反りで動く。常に腰回りは安定していなければいけない。

完全に後ろ足荷重して腰から反るようなスウェイバックを繰り返していると、パンチを避けても効果的に反撃できないだけでなく、腰を痛める原因にもなります。

 

機能的単位としての胸郭というのはそもそも肩甲骨を含んだ領域ですが、胸椎・胸郭がスムーズに動くには肩甲骨自体と肩もまた連動して動く必要があります。

 

肩甲骨と胸椎

構えが丸いから猫背でいい?

ボクサーの構えって基本的にはガードを高く、肘の間を狭く閉じ、やや背中を丸くして構えます。クラウチングスタイルはもちろん、アウトボクサー的なアップライトスタイルでもやっぱり肘腕は体の前に置き、顎は引くのでやや丸くなる姿勢です。

でもだからといって常に猫背のような丸い姿勢で居ていいというわけではないんです。猫背や巻き肩といった不良姿勢が普段の姿勢としても定着してしまうと、胸郭、肩甲骨の動き、あるいは首肩の筋肉が硬くなり、さらには肋骨の間の筋肉(肋間筋)も固まり、胸郭の柔軟性・弾力性が失われます。これは単に動きを悪くするだけでなく、深い呼吸を妨げる事にもなってしまうのです。

胸郭や肩甲帯が硬くなってしまえばスムーズな左右へのシフトも、パンチの伸びも生まれない。パンチのリーチを伸ばすためには、腕の長さだけでなく、肩甲骨の動きが大きく影響します。

猫背・円背

構えが丸いので常に丸くあるべきだというのは実に不合理な考え方です。構えという「静的な状態」と動作という「動的な機能」を混同してはいけない。

トレーニングやコンディショニングでは胸郭も肩甲帯も柔らかく大きく動かせる状態を作る必要があります

 

胸郭や肩甲骨を動かすおすすめエクササイズ

 

そこでじゃあどうすればいいかというところで肩甲骨や胸椎を動かす簡単な体操やトレーニングをいくつかご紹介したいと思います。

1・肘回し体操

ウォーミングアップに最適ですね。総合的に肩甲帯の動きを出していく体操です。

回すだけでなく3方向の動きもやっておくと肩・肩甲骨の動きをしっかり引き出していく第1歩になります。

https://www.bodymindsoul21.com/blog/scapular-1

 

2・キャット&ドッグ

前鋸筋の働きやパンチのリーチにダイレクトにつながってくる部分です。せっかくなので肩甲骨だけでなく、連動して動く胸椎や骨盤の動きと組み合わせて行いましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=wOZNi5un43o

 

3・サイドベンドもしくは側屈体操

サイドベンドは腹斜筋のトレーニング種目ですが、腰・骨盤を安定させて、胸椎から(体の前面で考えると胸骨下部のあたりから)動くようにしましょう。ファンクショナルだとかなんとかいう人たちには否定されがちですが、解剖学に基づいた伝統的なトレーニングにはちゃんと意味があります。

サイドベンド

猫背で腹筋固まりっぱなしとかになってしまえば動き作りや姿勢作りの上で問題になりますが、そもそもボクシングは腹全体を固められないと(ブレイシング)ボディ打ちに耐えられませんからね、当たり前ですが。

https://www.bodymindsoul21.com/blog/side-bend-1

 

側屈はバリエーションを行って可動域を作っておきましょう。

 

4・椅子ディップス

こちらも前鋸筋を刺激し肩甲骨の動きを引き出すのに大変良いトレーニングです。よく三頭筋のトレーニングとして紹介されますが、三頭筋だけに焦点を当てて肘の曲げ伸ばし中心の運動にしてしまうとむしろ大変良くない運動になります。

肩甲骨を動かすために、まずしっかり体をめり込むように沈めて、押すときは肩・肩甲骨を押し下げて首が長くなるところまでもっていきましょう。

 

 

ただし、上半身の動きは、安定した骨盤帯という土台があって初めて機能します。『動くべき場所(胸郭・肩甲帯)』と『安定すべき場所(腰椎・骨盤)』の役割分担。これができて初めて、下半身の力がロスなく拳へと伝わります。

ハメドみたいなアクロバティックな動きでも、メイのような繊細なディフェンスでも、上半身だけちょこちょこ動かしたりトレーニングしたりすれば身につくわけではないんですね。

 

また続きます。

 

※関連記事

「ただし力は尻から出る ~ Training Tips for Boxers 2」

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