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スモーデッドリフトとフツーのデッドリフト

昔から行われているナロースタンスのデッドリフト(コンベンショナルデッドリフト)と、足幅を大きく開いて行うスモーデッドリフト。
何が違うのかよくわからないまま適当にやり易い方を選んでいる、というケースは多いのではないでしょうか。



・基本はナロースタンス
そこでいきなりですが、基本となるのはあくまでも、スタンスの狭いコンベンショナルデッドリフトです。
スモーデッドリフトはパワーリフティングという、とにかく持ち上げられる重量を競う競技で、「手が短くて胴が長い」というデッドリフトで不利な日本人体型でも、より重い重量が挙げられるように、関節稼働域とバーを移動させる(挙げる)距離が短くても済むように作られたフォームなので、スポーツのためのトレーニング種目として積極的に選択する理由はありません。
多少体が硬くてもフォームをとりやすいという特徴はあります。


バーは体から離しちゃダメ、絶対!


・それぞれの特徴

一応違いを確認する為に2つの種目の筋肉の反応を見てみましょう。(画像なし、リンク先参照してください
筋電図の反応を見るとそれぞれ筋肉の反応自体には大きな差はないようです。
有意差と言えるのは、コンベンショナルだと腓腹筋の反応が大きいこと
スモーだと内側広筋と外側広筋の反応が大きいことと前脛骨筋の反応が大きいこと、くらいです。

内側広筋と外側広筋は大腿四頭筋を構成している筋肉です、デッドリフトでわざわざ四頭筋を狙う意味はないかと思われます、それならスクワットをやりましょう。下腿の反応の差は大して考慮する必要がないですね。(一応コンベンショナルで腓腹筋の反応が強いのはトリプルエクステンションに結びつくかも。)

 


・可動域をごまかさない
では大した差がないのなら何が問題になるか、というとスモースタイルの可動域の小ささということになります。

胴体の前傾を抑え股関節の屈曲角度を浅くして、膝の屈曲角度も浅いスモーは力発揮に有利なポジションのみでバーを挙げられる形ではありますが、関節の稼働範囲は狭いと言わざるを得ません。(浅いスクワットだけやることに似ています、スクワットと違ってそれでもお尻の筋肉は反応しますが。)

前の記事(→ラグビーとハムストリングの柔軟性 その2)でも触れたように、より効果的なトレーニングを行うには適切な柔軟性を身に付けた上で、適切な姿勢を維持しながら大きな可動域でトレーニングを行う必要があります。(パワーポジションの維持)


 

体が硬くて、スタンスを狭くして胴体の前傾が深くなると、どうしても骨盤の前傾が維持できない、という時にはスモーから入るということも否定はしませんが、柔軟性が足りないなら柔軟性を身に付けるべきです。

よっぽど特殊な体形をしていない限り柔軟性を高めて行けば、ナロースタンスでも、プレートをつけた状態のバーベル(床上20cm程度)をどうやっても腰を曲げずには挙げることが出来ない、ということはないかと思います。

ただ、体型や柔軟性によって最初からは出来ない可能性があるので、その場合はラックや台上からはじめてもいいので、RDLなどでしっかり柔軟性を高めて、ナロースタンスでも床から腰を丸めずに挙げることのできる体を作りましょう、ということになります。

 

 

またデッドリフトは、クリーンやスナッチなどオリンピックリフティングを行うための基礎になる、ということもナロースタンスを優先する理由の1つとして 挙げられます。極端なワイドスタンスからは、オリンピックリフティングでのトリプルエクステンションと爆発的筋力発揮につなげられません。

コンベンショナルが出来るうえで、バリエーションとしてスモーをやるというのは何も問題ありません。
コンベンショナルでも形は出来るけど、尻の収縮感覚が分からないという場合などはスモーは結構有効なのではないかと思います。

 

 



 

・おまけ
ついでにグリップについて、一般的にデッドリフトと言えばオルタネイトグリップという感じになっていますが軽い重量でも最初からオルタでやる必要は ありません。握力が回数をこなすための制限要因になってしまうような重量までは普通の(オーバーハンド)グリップでやりましょう。このあたりもオリンピックリフティングに繋がってくることが理由です。
握力の限界が先に来る重量まで来たらグリップをオルタにするかストラップなどの補助を使いましょう。

握力自体が重要になる競技であればストラップなどのギアを使うよりはオルタで行うことを優先します。
あとたまにいますがオルタのままでストラップも使うのは無駄なのでやめましょう。オルタでも限界でストラップを使うならオーバーハンドに戻しましょう。
(高重量をリバースグリップで扱うと上腕二頭筋腱の断裂の可能性があるようです。)

 
あとなぜかよくあるのが複数レップこなす時に床から引き上げる一発目は腰が曲がっても仕方ない、まあオッケーという風潮です。どんなスタイルだろうと何レップ目だろうと腰が曲がるのはよくないので、最初から最後までしっかり骨盤は後傾しないよう維持しましょう。

デッド終った直後から腰が痛いのは筋肉痛ではなく腰へのダメージによる腰痛です。気をつけましょう。

 

参照
An electromyographic analysis of sumo and conventional style deadlifts.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11932579
http://www.slideshare.net/jcissik/pulling-exercises-analyzing-the-deadlift




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